給与所得者の可処分所得を知る (2)

バブル崩壊後の日本経済は、失われた20年と言われるように長期停滞を余儀なくされました。その間、リストラの促進、非正規雇用の拡大などで給与所得者の雇用は年を追って不安定なものとなり、給与所得が一向に増加しない状況は今も続いています。

このような状況にあって、非消費支出である税金や社会保険料の負担が増えた場合、手取り収入が減るわけですから、自ずと可処分所得は減少します。例えば、厚生年金の保険料率は平成16年から平成29年まで毎年3.54/1000(一般被保険者の場合)ずつ引き上げられ、183/1000になりました。

給与所得に変動なく減税もなければ、社会保険料の負担増で可処分所得は減少します。可処分所得が最終的に消費支出と貯蓄に振り分けられる以上、消費支出を抑制しない限り貯蓄に向けられるお金は減ることになります。

ところが、必ずしもそうとは言えないのです。可処分所得が減少しても、消費支出を抑制することなく貯蓄に向けられるお金が増えることは十分あり得ます。物価が下がれば消費支出が減る分、貯蓄に向けられるお金が増えるからです。