給与所得者の可処分所得を知る (5)

消費税(一般消費税)は、平成元年4月に導入されました。消費税率は当初3%でしたが、平成9年に地方消費税の導入と併せて5%(内、地方消費税1%)に、平成26年4月に8%(内、地方消費税1.7%)に、令和元年10月には軽減税率(対象品目は8%、内、地方消費税1.76%)の導入と併せて10%(内、地方消費税2.2%)に引き上げられました。

消費税の場合、非消費支出である所得税、住民税とは違い、増税で可処分所得自体を減少させることはありませんが、増税によって消費支出が増えるため、実質可処分所得を確実に減少させます。したがって、実質可処分所得の減少分以上に給与所得が増えない場合、消費の落ち込みが懸念され、デフレ下にある場合のデフレ脱却は難しくなります。

本来、消費税増税の目的は、社会保障財源を確保して財政再建を図ることにあるはずですが、増税によって消費が落ち込んだ結果、所得税や法人税などの税収が減少し、財政が悪化するという本末転倒の事態を招きかねません。したがって、増税を実施しても消費が落ち込まない経済政策を併せて実施することが重要となります。

消費税増税分以上に給与所得が増加しないことで実質可処分所得が減少するのであれば、その差分を補うべく可処分所得自体を増加させて消費性向を高め、消費の落ち込みを回避する策を講じればよいことになります。可処分所得は、個人所得から非消費支出を控除した残りの部分であるため、非消費支出が減少することにより可処分所得は増加します。結論としては、非消費支出を減少させることが最も有効で、中でも最も実現可能な経済政策が所得税の減税ではないでしょうか。